いまの企画展のお知らせです。
「明治・大正の女性画家展」は、9月9日(木)~11月21日(日)の開催です。
女史の絵です。
野﨑家に所蔵する書画のなかで、
女性の手になるものが80点ほど確認されるそうです(担当者談)。
今回は明治・大正を中心として活躍した女性画家作品が野﨑家で飾られています。
展示風景
花の絵もありますが、しぶい山水画が多くあります。
今回いちばん取り上げられたのは、大阪の文人画家・橋本青江(はしもとせいこう)です。
江戸時代から明治時代頃には女性の文人作家として評価された人がいますが、
時代が下るにつれて、上村松園に代表されるように美人画へと人気は移っていきます。
文人画に欠かせないのが詩文ですが、
みんなご存じな通り、漢学も漢詩も難しいのです。
漢文女子は流行りません。
さてそのようなものに力を込められた青江はどのような人だったのでしょう。
青江の弟子であった河邊青蘭が後年伝えています。
「立派に一家を成した筆で、あの画は男子も及ばない気魄を持った立派なものです」
「その容子(ようす)といったら実に柔和でした。
老年にいたるまで、まるでお嬢さんのやうなやさしい声を出していた人」
性格は柔和で人当たりがよく、それでいて若い娘時代の青蘭にとっては厳しくて怖い師匠であったことから、芯の通った人柄を想像させます。
橋本青江についての研究は残念ながら十分進んでいるとは言えず、大阪から広島や讃岐、岡山県内では津山方面へもしばしば通っていた足跡が見えてきています。
その中で商家の娘を中心とした子女教育も行っていたのではないかと考えられています。
野﨑武吉郎の娘・達(号:柳江)も青江から懇意に書画の手ほどきを受けました。
今回の新発見となったのがのれんです。
チラシに使用した作品をご紹介します。
下草の生えた地面に石が置かれ、竹が伸びてバラが咲いています。
浅葱色(薄いネギの葉みたいな藍色)の織物で飾られています。
「書帷」とあって、書斎の垂れ幕とされます。
実際に当時どのように使われたかはわかりませんが、
石と竹という趣あるモチーフに可憐な着色された花がアクセントとなり、
周りの淡い藍色が品を感じさせます。
青江画ということになっていますが、
識語からはバラだけは柳江が描いたように読めます。
内容がわかる方はご教示ください。
柳江女君弄筆被寫紅薔薇其画艶麗可賞余亦
■奥添翠竹与醜石其不足見也同女君玩而善
畫使白髪老嫗如余者遍之舎于時戊子清和月也
浪華女史瑩
柳江があでやかできれいな赤いバラをかいてくれた。
私も竹と石を添えたけど全然だめ。
柳江のおかげで白髪老婆の私にもいい画が描けました。
他にも作品が展示されておりますので、
ご興味のある方はぜひご来館ください。
なお「女性画家」という言葉ですが、現代においてはジェンダー意識により差別的という見解や、そもそも女性による芸術表現活動が珍しいことではなくなっているため使用例は少なくなっています。しかし、画家=男性と考えられた時代は長く、そうした状況下で活躍をしていたことは先駆的であったかと思います。
明治・大正の女性画家展
令和3年9月9日(木)~11月21日(日)
野﨑家がコレクションした明治・大正期の女性画家の暖簾や掛軸などを紹介。
橋本青江のほか河邊青蘭、橋本青蘋、野口小蘋など約20点。
開館時間:9:00 – 16:30(17:00閉門)
休 館 日:毎週月曜日(祝祭日の場合は翌平日)
入 館 料:大人500円 小中学生300円
※小中学生および高校生は、毎週土曜日・日曜日・祝祭日は無料です。
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