と、いう記者発表を2022年12月20日(水)に行いました。
以下にプレスリリースをおいておきます。
公益財団法人竜王会館が所蔵する野﨑家資料の中から、幕末維新期に活躍した人物の書簡などの資料が見つかり、その解読が終了しました。点数は103点で、その代表的な資料としては、次の三つのものが挙げられます。
一つ目は水戸藩主徳川斉昭と藤田東湖との間でやりとりされた書簡や上書など、藤田東湖の御子孫から野﨑家に直接譲渡された資料16点です。徳川斉昭や藤田東湖に関する資料は、『水戸藤田家旧蔵書類』や『新定東湖全集』などに掲載されていますが、竜王会館の資料はほとんどがこれらに掲載されてない、新発見の資料となっています。
二つ目は、重要文化財に指定されている「岩倉具視関係資料」(海の見える杜美術館所蔵)などと同様に『岩倉公実記』(1906年発行)編纂に当たって収集された、岩倉具視やその周辺宛の書状などを中心とした資料64点です。このうち岩倉具視に宛てられた書簡は推定も含め30点で、その中には大久保利通、勝海舟、木戸孝允、三条実美からの書簡も含まれています。過去に、『大久保利通文書』『岩倉具視関係文書』や『山田方谷ゼミナール』などに掲載されたことがありますが、そのほとんどが未公開の資料です。
三つ目は、元治元(1864)年8月、水戸藩内の争乱平定のため水戸藩主徳川慶篤の名代として派遣された支藩の宍戸藩主松平頼徳とそれに同行する部隊(いわゆる「大発勢」)が水戸へ向かう場面から、同10月の那珂湊における幕府軍・水戸藩諸生派と大発勢・天狗党との戦闘までの様々な場面を描いた『遺響画巻』です。ほぼ同じ資料が、徳川ミュージアムにも所蔵されていますが、若干の差違があるようです。
なお、今回見つかった資料は、資料集として発刊する(2023年2月予定)ほか、岡山県立博物館において、「幕末維新を彩った人々-その書簡を見る、読む-」として2023年1月7日(土)から2月19日(日)まで、その一部が展示されます。
とりあえずどんな感じか見たいという方は、岡山県立博物館のプレオープン展示へ!
詳しい内容を知りたい方はもうまもなくの書籍刊行をお待ちください!
読売新聞の記事 ( https://www.yomiuri.co.jp/culture/20221221-OYT1T50070/ ) では、「夷人焼殺ノ件」の朱書は手紙が届けられた時に既に書かれていたように報道されていますが、これは書簡を保存した人が後年に整理のために内容を要約して注記した物ではないのですか? 本文の右上に加筆された朱書「安政二年」と同筆のように見えますし、万年筆でなく毛筆でこのような小さな楷書体の文字を書くのは至難の業かと思います。
博物館の展示や書籍では、このように当然出てくるであろう疑問に関する解説をお願いいたします。